コラム:恣意的な統計作成に潜む「危険な罠」 – ロイター

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Edward Hadas

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 数字はうそをつかないと言うが、実際には半分でも真実なら、という事態が起こりつつある。政府統計が政治の道具と化す様相は、強まる一方だ。そうした傾向が続けば、だれのためにもならない。

だが残念ながら、統計を作成する現場の人々は、自分たちを守れるほど強い立場を持っていない。統計の背後にある複雑な真実を声を大にして主張できないのが常だ。

統計が政治的に使われるという最新の事例は、米国に見ることができる。トランプ大統領はあらゆる正確な事実を無視することでは伝説的存在であり、彼が率いる政権が政策にかなう統計を求めるとしても何ら驚くに当たらない。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、政権側は現実にそうした取り組みを検討しているという。

早速問題となるのは米国の貿易赤字額だ。対国内総生産(GDP)比で3%弱にすぎない貿易赤字は、米国経済にとって大問題となる規模には達していない。だがトランプ氏の考えは異なる。そこで米国経由で他国に向かう財に関して輸入に算入し、輸出からは除くという非対称的な調整を加えれば、同氏が進める保護主義的な通商政策を後押しするデータになるだろう。

もっともこうした強引な統計手法の駆使は、トランプ氏が先駆けというわけではない。中国政府は、GDPを引き上げ、公害汚染関連データを押し下げる方向で算出していると長らく批判されてきた。さらに最近は、民間機関が不動産価格や景気動向のデータ公表をしないよう指導しているもようだ。インドやトルコ、アルゼンチンの当局も、統計を良く見せるため計算方法を変更したと後ろ指をさされている。

こうした統計的なごまかしの指摘について、ほとんどのケースでは反論の余地がある。政府は悪意を否定できるし、統計当局は重要データをまとめる上で別の方法を採用することに、少なくとも一面の妥当性があると判断するのも可能だ。それはつまるところ、統計が観察と解釈の産物であるからにほかならない。GDPや失業率、物価上昇率、そして貿易収支でさえ、多くのハードデータを利用する。とはいえ、どのデータを使うかは常に選択者の意のままだ。統計は概算、推計、恣意的な計算という要素も数多く含まれる。

例えば比較的単純に思える米国の失業率を取り上げてみよう。トランプ氏が主張するように米経済がひどい状況にあるというのは幻想だとしても、4.8%という足元の数字は労働市場の影の部分を過小に見せる、と多くの専門家は考えている。失業率には、能力を十分発揮できなかったり、賃金が希望より低い仕事に就いている人々の存在が抜け落ちているからだ。

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