EU「英離脱白書なお疑問」 貿易協定など実現性・コスト指摘 – 日本経済新聞

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 【ブリュッセル=森本学】英国を除く欧州連合(EU)加盟27カ国は20日、外相らによる総務理事会を開き、英国が12日まとめたEUとの離脱後の通商関係などの交渉指針である「白書」を協議した。会合後の記者会見で、EUのバルニエ首席交渉官は英白書は「建設的な議論につながる」と評価した一方、国境検査などを省けるとした英提案が機能するかや、コスト増につながらないかなど「多くの疑問がある」と指摘した。

=ロイター

 英白書の提示は交渉進展につながる一歩だが、内容には疑問が多い――。これまで英白書への評価を避けてきたバルニエ氏が20日、初めて白書への評価を示した。

 「建設的な議論の余地を広げるいくつかの要素がある」。バルニエ氏は(1)自由貿易協定の提案(2)テロ対策や安全保障の協力で幅広い意見の一致――を英側が白書で示したと評価。一方で、英国案には「たくさんの疑問」があるとも指摘した。

 英白書は、特別な関税措置の導入で税関手続きなどを省き、離脱後もEUとの「摩擦のない」貿易を維持できると主張する。しかしバルニエ氏は「複雑な官僚的手続きを増やさずに実現できるのか」と指摘。農産物などの基準をEUと共通化して国境検査なしを維持できるとの提案にも「それで我々はEU市民を守れるか」と疑問を呈した。

 英国とEUは離脱交渉で10月までに(1)離脱の方法などを定めた「離脱協定案」(2)離脱後の通商協定など将来の英・EU関係の大枠を定める「政治宣言」――の2点で合意する必要がある。白書はこのうち政治宣言の交渉のたたき台となる。10月の実質交渉期限までに合意できるか、時間との勝負になってきた。

 離脱協定では、アイルランドとの国境問題の交渉が停滞中だ。EUは離脱後の「厳しい国境管理」の復活を避ける具体策で英側と合意できなければ、英領北アイルランドを実質的にEU関税同盟に残留させると提案しているが、英国は猛反発している。バルニエ氏は20日、同問題で交渉に応じる構えを示した。10月までの合意を目指し、週明けに英側と協議する方針だ。

 英離脱を巡っては、英・EU間の合意のないまま、2019年3月に離脱することへの警戒が広がる。EUの欧州委員会は19日、企業に準備加速を求める文書を採択。「合意なし」での離脱が現実になれば、企業活動や国民生活が大きく混乱する懸念がある。

 欧州委は想定すべきメインシナリオのひとつとして、「合意なし」で離脱するケースも想定し文書で明記。従来より警戒度を大きく引き上げた。例えば自動車産業や運輸サービスなどに、英国で取得した免許や許認可が離脱後はEU域内で無効になる可能性を指摘。他のEU加盟国で免許や許認可を取り直すなど対応を急ぐよう呼び掛けた。

 欧州委の高官は文書採択は「交渉先行きへの不信感を示すものではない」としつつも、英国とEUが離脱協定などで合意できるかは「危うい状況だ」と認めた。英国ではメイ首相の離脱交渉方針に反発し、デービス前EU離脱担当相やジョンソン前外相らが相次いで辞任。混迷するメイ政権が離脱交渉をまとめ上げられるのか、との懸念がEU側で強まっている。





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