ばねトラブルのランキング:ばねの基礎知識3 – Tech Note(テックノート)

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ばねの基礎知識

更新日:2018年5月18日(初回投稿)
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

前回は、板ばねの種類と加工法を学びました。今回は、ばねのトラブルを取り上げます。ばねのトラブルには、どのようなものがあるでしょうか? また、ばね形状によるトラブルについて、原因・対策を掘り下げます。

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1. ばねトラブルのランキング

ばねの中でも使用頻度が高いのは、コイルばねと板ばねです。これらのばねで、発生件数の多いトラブルを検証します。図1は、当事務所のクライアント企業の協力を得て調べた、コイルばねと板ばねのトラブル件数ランキングです。ランキング上位のへたり、変形、折損は、企業規模や業種にかかわらず、多くの製造業者で共通の設計課題でしょう。

コイルばねと板ばねのトラブルランキング

図1:コイルばねと板ばねのトラブルランキング(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.171)

ところで、ばねのへたりとは何でしょうか? へたりとは、ばねに応力が加わることで生じる永久変形のことです。漢字では経たりと書き、許容応力以上の応力や繰り返し応力などで生じます。身近な掃除機を例に、説明します。日本の掃除機の電源コードは、ボタンを押せば本体内部に巻き戻るタイプが主流です。便利な反面、使い続けるとコードが10~20cmほど、本体に収納されずに残るようになりませんか? 実はこの原因が、巻き戻し用のばねのへたりなのです。

2. ばねトラブルの原因

ねじやばねのトラブルは、機械設計の基本である機械要素のトラブルです。機械要素がトラブルを起こせば、その上位にある部品や小組体や最終製品にも影響を及ぼします。ばねのトラブルを軽視せず、しっかりと時間を割いて分析・対応することが肝要です。図1のばねトラブルの原因を分析し、表1にまとめました。

表1:ばねに関するトラブルの原因分析(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.172)

トラブルの内容 原因の分類
形状の不具合  材料選択のミス  計算不足 電気知識の不足 
 へたり  〇  〇  〇  
 変形  〇  〇  〇  
 折損  〇  〇  〇  
作業者のけが   〇      
 さび    〇    
 強すぎ・弱すぎ      〇  
 組立・分解困難  〇      
 導通不良        〇

当事務所が調べたところ、ばねトラブルが起こる原因の割合は、形状の不具合が36.3%、材料選択のミスが31.6%、計算不足が30.7%、電気知識の不足が1.4%でした。今回は、トラブルの原因となる割合が一番高い、形状の不具合を中心に解説します。

3. 形状不具合によるコイルばねのトラブル

トラブルの原因が判明したら、次は対策を打ちます。専門書やセミナーなどで身に付ける知識だけでなく、実務の知識も重要です。一人前の設計職人になるためには、ばねトラブル第1位のへたりを防止できるようにならないといけません。実際の事例を元に、学んでいきましょう。

1:無理のある設計

筆者はクライアント企業からの依頼で、設計審査をすることがあります。その際に、寸法が不適格なコイルばねを、限られたスペースに無理やり押し込む設計をよく目にします。繰り返し回数や、フック部の安全率計算なども行っていません。動作するたびに、ばねの外周とケースの内側が擦れる状態のものもありました。設計段階から後のトラブル発生が目に見えるような設計は、プロとして論外です。

2:引張コイルばねの変形・折損

引張コイルばねは、フック部が破断しやすいため、設計時には注意が必要です。実際、多くの企業が引張コイルばねのフック部の折損に悩んでいます。引張コイルばねを使用する場合は、フック部の安全率が3以上ある丸フック形状のばねを推奨します(図2)。このアドバイスには、賛否両論あるでしょう。商品別、企業別にそれぞれの状況と考え方は違うので、各職場で議論してみてください。トラブルが発生してからの事後対応ではなく、平時から準備しておくことが肝要です。

各種コイルばねのフック形状と使用上の推奨条件

図2:各種コイルばねのフック形状と使用上の推奨条件(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.177)

3:フックの外れ(引っ掛けが外れる)

図3は、コイルばねのフック開口部が大きすぎるケースです。組立作業時には都合が良いかもしれません。しかし、輸送段階や機械作動中の振動で、コイルばねが外れる不具合が想定できます。コイルばねの選択を見直せば、簡単に防ぐことができます。

図3:コイルばねの形状不具合例

図3:コイルばねの形状不具合例(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.179)

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4. 形状不具合による板ばねのトラブル

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